ブログ|弁護士・弁理士 北川修平が「特許」「商標」「意匠」「不正競争防止法」知財の警告状から御社の事業を守ります!

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これでもう諦めてくれたってことなの?

2017年3月2日不正競争警告状対応, 商標警告状対応, 意匠警告状対応, 特許警告状対応, 知財(全般)警告状対応, 著作権警告状対応

間違った思い込み

「知財侵害の警告状が届いたので、こちらから書面を送り返して、真正面から反論した。

そうしたら、警告者からは、1ヶ月以上何の返事もない。

反論を見て諦めたのか、まだ諦めずに検討中なのか、警告者の真意は今一つよくわからない。

はっきりしないままでは気持ちが悪いから、一度、警告者に電話して確認してみよう。」

正しい心構え 

「警告状に対してこちらが反論し、警告者が諦めて引き下がる場合、

警告者は何も言うことなく、単に、連絡が途絶えるというパターンがほとんど。

しかし、このような場合、こちらから相手方に、警告を諦めたのか否かを正式に確認しにいくと、

警告者は、内心、諦めるつもりでいたとしても、

一度、高圧的に警告したメンツもあり、表向きに「はい、諦めました」という回答はし辛い。

その結果、警告者から、「いや、再反論を検討中です」というような、建前の回答を引き出してしまい、

かえって、警告者を、振り上げた拳を下ろしづらくなる立場に追い込んでしまう可能性がある。

「もう終わったのか終わっていないのか、はっきりしてほしい」という気持ちは飲み込んで、

警告者のプライドを刺激しかねない、無用なアクションは慎むことが賢明。」

解 説

これは、特許でも、商標でも、著作権でも、不競法でも、

当事者間の相対で(訴訟外で)書面のやりとりによる交渉を行う場合には、同じことですよね。

 

ある事件が、訴訟になった場合、

その事件がまだ続いているのか、もう終了したのかというのは、明確です。

訴訟は、判決だとか、正式な和解だとか、はっきりとした形で区切りをつけて終わりますから、

そういう区切りがあれば終了だし、ないならば、まだ続いているということです。

判決も和解もないけれど、もう訴訟は終わったかと思ってました、というのはありえません。

 

でも、訴訟でない、当事者間の交渉の場合、

これでもう事件は終了したんだか、そうでないんだか、というのは、しばしば曖昧です。

 

以前、私がやっていた、元暴力団員からの貸金名目の金銭請求という民暴事案では、

相手方からの金銭請求の電話に対して、

こちらが、「証拠を出していただければ誠実に検討しますので、証拠をお出しください」と言うと、

2・3ヶ月連絡が途絶える。

やれやれ、これで諦めてくれたかと、安堵したころに、

再び同じような金銭請求の電話がかかってきて、「まだ諦めていないのか」と気付く。

こちらは再び、「証拠をお出しください」と回答する、

というパターンを、何度も繰り返したことがありました。

 

普通、2・3ヶ月も連絡が途絶えれば、これでもう事件終了だろと思うわけですが、

中には、そうでない場合もあるということですね。

 

知財事件についても同じことで、

侵害の警告状に対して、こちらからガツンと反論して、

警告者からの連絡が途絶えることで、結果的に事件終了になる、

という、よくあるケースの場合、

ある程度の時間が経過した時点で、もう戦いが終了したのか、まだ続いているのか、というのは、

しばしば曖昧であり、判断に迷います。

(弁護士にとっては、どこの時点で正式に事件終了として、成功報酬を頂くべきか、

判断が難しい、という切実な問題でもあります(笑)。)

 

で、人間は、モヤモヤとした曖昧さを嫌いますから、

中には、「警告者に電話して、もう諦めたのか否か直接確認すればいいじゃないですか。」

なんておっしゃる、依頼者の方もいたりします。

 

素直な発想でして、お気持ちは非常によくわかるのですが、

でも、やっぱり、個人的には、それはしない方がいいだろうと思っています。

(何でも腹を割って話せる旧知の弁護士が、警告者の代理人である、とかいうのであれば別ですが。)

 

その理由は、大体、上記「正しい心構え」に書いた通りなのですが、

要するに、警告を諦めるというのは、

警告者の側からすれば、ただでさえ、非常に悔しい出来事であるわけです。

(もちろん、無理筋と知りつつ、そもそもダメ元で警告を行っていた場合など、例外はあります。)

一旦振り上げた拳を下ろすというのは、

プライドが邪魔するもので、そんなに簡単ではありません。

 

そんな中、こちらから「もう諦めたと理解してよいですか?」と聞いたとしても、

「はい、そのように理解していただいて結構です。」とは、警告者は、なかなか回答できない。

かえって「いや、再反論を検討中です」というような、建前の回答を引き出してしまい、

警告者を、振り上げた拳を下ろしづらくなる立場に追い込んでしまう可能性がある。

こうなってしまったら、お互いにとって、いいことは一つもない。

 

「終わったか終わってないか、はっきりしてほしい。」

という素直な気持ちは、グッと飲み込んで、

警告者を、変に追い詰めす、何も聞かずにそっとしておくことが紳士的であり、

結果的には、お互いにとって利益なのではないか、と思うところです。

特許であろうと商標であろうと著作権であろうと、結局は生身の人間同士の争いですから。

 

 

<突然、知財(特許・商標・著作権・意匠・不正競争防止法)の警告状が送られてきた。

 訴訟にはしたくない。でも、今までと同じようにビジネスは続けたい。

 知財については初心者だけど、どうやって対処すればいいのだろう?

 

 このブログは、そういった方のための、転ばぬ先の杖です。

 初心者の方にありがちな(でも、実は専門家にもありがちな)間違った思い込みを、

 毎回一つずつ取り上げます。

  

    どこが間違っているのか、じゃあどうすればいいのか、

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